私の知らないネクタイの世界

これからクールビズが始まり、だれもネクタイなんかしなくなる。

私は女であるし、ネクタイなんぞ縁がない。

だからこそ、「たかがネクタイである。」が、奥深かった・・・。

5年の名古屋勤務を終え帰京した男友達のうえむーが、

「一緒にネクタイを選んでほしい」と言ってきた。

名古屋では着ける機会がなかったらしい。

また「東京には何がどこにあるのかわからない」という完全なおのぼりさん状態。

5年という歳月は人をここまで変えるのか・・・。

(うえむーは東京のスーパー有名エスカレーター式の学校育ちである。)

尼の身の私、スーパーフリー!確かにもってこいの相手だ。

というわけで、彼の勤務地の日本橋からスタートし銀座に行くプランにした。

プレゼント等には無駄なブランド志向力を発揮する私は、

「ネクタイならエルメス★」と思っていたが、

うえむーにエルメスは豚に真珠すぎる。とりあえず高島屋の紳士服の売り場へ。

「どんだけオレンジなんだよ!」と叫びたくなるくらい鮮やかなネクタイをした

おじ様が対応してくれた。

オレンジ出されたらどうしようとドキドキしながらも、

そのおじさんの接客は巧みで、

次から次へと背伸びしすぎてなくていい感じのネクタイを出してくれた。

「一花咲かす、いや百花!もう胡蝶蘭咲かす!」とい意味不明な理由で、

Paul Stuartのグリーンベースの花模様のネクタイに決まった。


目標は達成されたけど、まだ時間もあるし、

1店1ネクタイに挑戦する?と冗談をかましながら話題のスポット銀座へ。

おのぼりうえむーはGINZA SIXに目がテン。

「なんで松坂屋なのにFENDIなの?」という質問は無視。

私は好きなジュエリーブランドが期間限定でPOP UP STOREを出店しているという理由で、

無理やりバーニーズニューヨークを目的地にして、入店しようとしていた。

すると、うろたえ始めるおのぼりうえむー。「え!ごめん、今ネクタイ外すわ!」と、

もらったというほつれきっただっさいネクタイを外した。

(え?今更?なぜ怖気づいた・・??お前高島屋に失礼だぞ。)

たしかに高島屋とは比べ物にならないほどネクタイ並んドル————!!!!

(でももう結構いいの買ったしいいよね。高いだろうし。)と思い、

私の目的を達成し、昨日髪洗ってなかったので、テスターのヘアスプレー拝借。

シュシュシュッ〜〜!あーバーニーズのかほりぃ〜〜★

お腹空いたし、なんか食べにいかない?と思ってうえむーを探すと、

まだなんだかんだネクタイ売り場にいるので、

私がディスプレイされている淡いブルーのネクタイについて販売員に尋ねたのが、

喜劇の始まり・・・。


結論からいうと、

「出来る男はネクタイ100本持ってる」という殺し文句で、3本お買い上げ。


アラ還の販売員のテクニックは凄まじかった。

「アズロエマローニ」という魔法の言葉を連呼していた。

「イタリア人はどんなに暑い夏でもネクタイをしている。」

「クールビズ?そんな概念、まったくおしゃれじゃない。」

「なぜネクタイのえりに穴があるかご存知ですか?*」

「良いネクタイしているだけで、取締役の目にとまる。出世コース間違いなし。」

「本物のおしゃれはスーツもシャツも全部揃える。」

しゃべるしゃべるしゃべる・・・。捕まえる相手を間違えた・・・。

うえむーも目が点。

(あのださネクタイ外しておいて本当によかった。)

前述にも述べたように、言われるがまま3本お買い上げ。

「どれも比べようがないですからね。ひとつひとつ最高です。」

・淡いブルーのネクタイ(バーニーは「グリーン」と言っていたがどう見てもブルー)

・アズロエマローニのための栗色のネクタイ

・灰色青色紺色のななめ柄ネクタイ

100本にはほど遠いが東京で一日で4本ネクタイ買ったうえむー。どれも運が上がりそう!

出世間違いなし!!アズロエマローニ!!

心機一転、東京で胡蝶蘭咲かせるような粋な男になってほしい。


*ルネッサンス時代、男性が女性にプロポーズした際、その答えがOKなら、

その穴に一輪の花をさすという習慣があったらしい。

(ルネッサンス時代にスーツがあったのかはいささか疑問である・・。)




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